SNSの数字に見る自民党総裁選2021

自民党総裁選2021_候補者政策本

 注目を集める自民党総裁2021。

マスコミの報道では河野太郎が頭一つ抜け、高市、岸田が追う状況にあります。これに対しネット上の評価では、高市早苗が圧倒的に強いように感じています。このような中、実際の民意はどこにあるのでしょうか?

新聞テレビといった大手メディアで流れる情報は、各社各局の恣意的な意図に基づくプロパガンダの色が強いため、そのまま鵜呑みにすることはできません。

9月18日に行われた日本記者クラブの討論会は、それを証明するように、本来あるべき報道の中立性を放棄した、既存メディアの偏向を目の当たりにすることになりました。

一方でネット上に流れる情報も、世論を代表する指標として利用するには客観性的根拠とは言えない側面があるのも周知の通りです。

そこで、総裁選や各候補に対する国民の関心や評価を把握する指標として、現代情報社会の三種の神器とでも言うべきSNSの情報を頼りに、国民の関心を推し量ってみたいと思います。

  • 書籍としての「Amazon」
  • 報道としての「YouTube」
  • 発信力としての「Twitter」

果たしてどのような結果が確認できるのでしょうか?

1.Amazonに見る総裁選

 ではまずはAmazonの書籍ランキングを確認します。結果は以下の通りです。

Amazon書籍総合ランキング(2021年9月13-18日)

全ての書籍を含む総合ランキング上において、高市政策本と河野政策本が上位に食い込む健闘を見せています。

その中でも、高市本が圧倒的な強さを見せつけて他候補を抑える結果となりました。

発送前の予約段階にも関わらず、14日にはAmazon全体の総合1位に躍りだし、総裁選告示以降の現在も勢いは止まりません。

一方の河野本は、先行する8月27日に発売され、13日の段階では総合トップ10内に入ったものの、その後一気に順位を落とす結果となり評価が分かれました。

この二人の差は、出版日や書籍の内容そのものの相違が原因というよりは、それぞれの出馬会見を見た一般市民の期待感の各候補者への温度差がより強く反映された結果と考えます。

わずか2時間の会見で、菅政権における自民党政治の閉塞感や不信感を、一瞬で希望と期待に昇華してみせた高市候補の所信表明やリーダーシップは見事なものでした。

自民党としては総選挙での歴史的大敗が確実だった状況の中で、結果的に起死回生の高市マジックが飛び出した形となりました。高市氏が総裁になった暁には、衆議院選挙で自民党に投票しようと決意した有権者は少なくないと感じます。

おそらく多くの国民が、政治家とは本来こうあるべきだという姿を、高市会見の中に見たのだと思います。私自身も有権者となって30年以上経つ中で、政治家の言葉に感動したのは初めての経験です。

それだけ今回の総裁選は、日本にとっても自民党にとっても大きな意味を持つ歴史的選挙になる気配が漂っています。菅総理は、意識的にせよ結果的にせよ、任期満了の引き際に、解散総選挙よりも評価されるべき華麗な一手を放ったことになります。

残念ながら、岸田、野田両氏の政策本は、上位100位に届かない結果となりました。岸田氏の直近の政策本は2020年9月発売、野田氏は2018年8月となり、書籍の出版に関しては、タイミングを逸した感もあります。

ただ今回の総裁選は、菅総理の突然の退陣表明による急転直下な状況の中で行われるものであり、出版への周到な準備ができなかったといえばそれまでですが、高市、河野両氏が見事なタイミングで政策本を当ててくるところを見ると、他候補の元には元より勝利の流れは訪れていないのかもしれません。

2.YouTubeに見る総裁選

 では次に、YouTubeの再生回数や評価について確認します。

対象の動画としては、まずは河野、岸田、高市3候補の出馬会見ノーカット版が網羅されている報道になります。会見直後から3候補全てを公開しているのは、”テレ東BIZ”のみとなります。

ただし、1社のみの場合は視聴者の偏りが発生する懸念がありますので、当初から高市、河野2名の会見フルバージョンをアップしている"FNNプライム”の数字も合わせて参照します。

以下の数字は、9月13日から18日までの、テレ東BIZおよびFNNプライムオンラインの合計視聴数となります。ただし岸田氏の会見は当初FNNでは流れていなかったため、テレ東の数字を2倍換算して算出しています。野田氏は出馬表明演説を行っていないため、出馬囲み会見の再生数をカウントしています。

出馬会見・合計視聴数

  • 高市早苗 4,045,627回
  • 河野太郎   379,343回
  • 岸田文雄   223,606回
  • 野田聖子     21,773回

視聴回数累計を視覚的に確認すると以下の通りとなります。

YouTube視聴回数累計(テレ東BIZ+FNNプライム)

高市氏が河野氏の10倍を超える再生回数を獲得する圧勝となっています。

この結果は、先のAmazonのランキングの推移とも深い相関関係があると共に、各候補の出馬会見に対する評価をダイレクトに反映しているように思います。

9月18日現在、高市候補以外の3人の出馬会見は、既に再生回数が頭打ちになっており、高市氏のみが日々数万回の閲覧数を伸ばす状況で、明暗がはっきり分かれる結果となっています。

高市早苗は、総裁候補としては今回突然彗星のごとく現れ、国民に対するたった1回の所信表明で、総理大臣としての資質や期待感を一心に集めた稀有な政治家として、後世に記憶されるかもしれません。

「いいね」プラス評価数

  • 高市早苗 98,334回
  • 河野太郎   2,619回
  • 岸田文雄   1,688回
  • 野田聖子      115回

こちらは各候補者の出馬会見動画に対する「いいね」の合計推移を示しています。

YouTube 「いいね」累計(テレ東BIZ+FNNプライム)

高市氏と河野氏のいいね差が18日時点で37倍以上あるなど、動画再生回数以上の開きがあり、高市会見への評価の高さがこの数字からも伺えます。

「Bad」マイナス評価数

  • 河野太郎 24,407回
  • 高市早苗   6,388回
  • 岸田文雄   2,834回
  • 野田聖子   1,346回

プラス評価については高市候補の圧勝だった会見ですが、逆にマイナス評価に関しては河野候補が他候補を大きく突き放す結果となりました。

YouTube 「低評価」累計(テレ東BIZ+FNNプライム)

この結果は、大手マスコミが発信する河野氏の圧倒的な総裁候補人気の高さに対する、出馬表明会見への失望の表れと言えるでしょう。視聴回数では高市候補の1/10未満となりますが、Badの数は4倍近くにも及んでいます。

本来河野氏は、自民党よりも立憲民主その他の野党に通じる左派革新的な政治信条を標榜する異端児的なキャラが売りである中で、出馬会見では保守層へのアピールとして自身の政治理念を曲げるような歯切れの悪さと、政策そのものに対する内容の薄さが重なって、大きく評価を落とすこととなりました。

2021年の自民党総裁選出馬会見は、高市候補のレベル違いの所信表明の結果、これまでの当たり障りのない形式的な選挙とは一線を画す興味深い選挙戦が期待できそうです。

「いいね-Bad」評価差数

  • 高市早苗     91,946回
  • 河野太郎  ▲21,788回
  • 岸田文雄      ▲1,146回
  • 野田聖子       ▲1231回

では最後に、会見の高評価と低評価の差分を確認します。

YouTube 「Good/Bad差」累計(テレ東BIZ+FNNプライム)

結果は一目瞭然で、4候補の内、会見動画のプラス/マイナスの差分がプラスとなったのは、全ての期間において高市候補のみとなりました。

この内、岸田候補と野田候補は、全体数から見るとほとんどグラフに表れない程度の数字となります。良くも悪くも、存在感のない候補者ということになります。

そしてこの高市会見へのプラス高評価と、河野会見に対するマイナス評価の絶対値の大きさの差が、逆転を狙う高市候補の追い上げエネルギーの源になるといえるでしょう。

二人に対する実際の党員支持者数が、今後どの程度まで縮まるのか、あるいは逆転するのか非常に興味深いところです。

左寄りのマスコミ各社はこの評価差を痛感しているからこそ、一致団結して高市候補に対するネガティブキャンペーンを張り、河野氏への追い上げの勢いを相殺しようとしているのでしょう。

3.Twitterに見る総裁選

 最後に、ツイッターのフォロワー数を確認します。

ツイッターは、支持母体の規模を推し量ると共に、政治家としての人気度や発信力を測る目安ともなります。

各候補のTwitterフォロワー数は、2021年9月18日21時現在、以下の通りとなります。

  • 河野太郎 @konotarogomame 2,426,336
  • 河野総裁選 @konososaisen          17,793
  • 高市早苗 @takaichi_sanae          183,674
  • 岸田文雄 @kishida230                  54,400
  • 野田聖子 @noda_seiko93                13,813

総裁選・公式Twitterフォロワー数(9月18日)

グラフから明らかなように、Twitterの登録者数は河野太郎の独壇場です。

今回総裁選に合わせて開設したサブ・アカウントも合計すると、全候補者の概ね92%以上を占める独占的な発信プラットフォームとなります。

一方で、総裁選告示前後のアカウントの伸びに注目すると、また違った結果が見えてきます。

自民党総裁選Twitter登録者増加数

絶対数では圧倒的な河野アカウントの伸びよりも、高市、野田候補の増加数の方が高い結果となっています。二人の女性候補は、全国的にはあまり知名度は高くないものの、出馬後にフォロワー数を伸ばしており、結果はともかく総裁選に出馬すること自体が知名度のアップにつながり、政治家としては大きな意味がありそうです。

その中でも、やはり高市候補は日々1万人近いフォロワーを継続的に増やしており、他のSNS結果そのままの勢いを感じます。

いずれにしても、圧倒的な数を要する河野氏のフォロワーが、全て同氏の政治的支持者であるかどうかは分かりませんが、他候補の10倍以上の発信力によって、選挙活動がより多くの国民に直ちに共有される環境があり、情報社会の総裁選にとっては強力な武器を保持していることに変わりありません。

マスコミ河野上げ高市下げの中で

 以上、令和のデジタル三種の神器にみる自民党総裁選2021、9月18日21時の状況について確認しました。

左派マスコミの明らかな河野太郎押しと高市早苗下げ。

今回の結果を見る限り、マスコミ各社の焦りの源泉が数字としてはっきり理解できると思います。彼らにとっては総裁選の結果だけに留まらず、世論誘導装置として発達した存在意義自体が脅威に晒されているのです。

今回は、報道には現れないサイレントマジョリティーとも言うべき高市女性総理誕生への期待感の高まりを今回数字で確認することができました。このうねりは、一般的日本国民が政治への関心を高める機会になると共に、結果によっては日本国内で長きにわたって続く戦後レジームの転換点となるかもしれません。

そしてこの先、マスコミと無言の民意の力関係が、どのように推移していくのか目が離せません。第100代自民党総裁が誕生するまでのしばらく間、引き続き数字の変化を追いかけてみたいと思います。

ではまた次回。