都立英語スピーキングテスト入試への影響

都立高入試スピーキングテスト活用について

 2021年9月24日に東京都教育委員会から、都立高校入試における英語スピーキングテストの活用方法について告知がありました。

具体的には、都立一般入試において、合否判定に関わる総合得点にスピーキングテストの結果が20点分加算されるというものです。

この総合20点という点数が、無視できないほど大きい影響があるのか、あるいは無視してもよい程度の小さな影響であるか、都の資料だけでは客観的な判断がつきません。

そこで今回は、英語スピーキングテストの合否への影響について、一般入試の得点や内申点と比較することで、影響の大小を考えたいと思います。

総合20点はテスト14.3点分

 まずはスピーキングテスト20点が、一般入試5教科の何点分に相当するか考えます。

入試問題5教科はそれぞれ100点満点ですので、合計で500点満点になります。

一般入試の合否判定では、この500点を700点に換算しますから、700/500=1.4となります。要するに、各テストの得点を1.4倍して総合得点に換算するということです。

従って、総合得点20点分の英語スピーキングテストは、逆に入学試験500点に換算すると20/1.4=14.28...、つまり概ね14.3点となります。

スピーキングテストはA~Fの6段階で評価されます。それぞれの評価の入試テスト換算は以下の通りです。

  • A=20点:20/1.4=14.3点相当
  • B=16点:16/1.4=11.4点相当
  • C=12点:12/1.4= 8.6点相当
  • D=  8点: 8/1.4=5.7点相当
  • E=   4点: 4/1.4=2.9点相当
  • F=   0点:  0/1.4=0点

入試テストにおける14.3点分ということですので、決して小さくはない得点への影響ですが、それでもトップ校を受験するような生徒であれば、基本的にA判定が基準になると想定されますから、実際はAとB、あるいはAとCの得点差、概ね前者で3点、後者で6点程度の差が生じる可能性が高いです。

いずれにしてもトップ校を目指す受験生は、ライバルに差を開けられないためにも、スピーキング満点を取得することが求められます。

総合20点は5教科内申点4.3点分

 では次に、スピーキングが内申点何点分に相当するかを考えます。

この際注意すべき点は、主要5教科と実技4教科では総合点への換算時に評価が異なることです。実技4教科については、総合点への換算の際に、評価が2倍されます。

各教科の内申点は以下の通りとなります。

  • 5教科換算内申点:5教科x5段階x1倍=25点
  • 4教科換算内申点:4教科x5段階x2倍=40点

総合点における内申点は、9教科合計65点が300点に換算されますので、300/65=4.6倍となります。つまり、5教科内申点は4.6倍、4教科内申点はこれに2倍が入り9.2倍されるということです。

ですから逆に、スピーキングテストの20点は、

  • 5教科換算:20x65/300=4.3点
  • 4教科換算:20x65/300/2=2.2点

となり、英数国理社5教科素内申点の4.3点分、つまり5点満点までは届かないものの、新たに1教科分の科目が増えることに相当するということができますので、こうしてみるとなかなか驚くべき影響と言えるかもしれません。

ちなみに先の各ランクの得点については以下のようになりますから、

  • A=20点:20x65/300=4.3点
  • B=16点:16x65/300=3.5点
  • C=12点:12x65/300=2.6点
  • D=  8点: 8x65/300=1.7点
  • E=   4点: 4x65/300=0.9点
  • F=   0点: 0x65/300=   0点

多少強引ですが、これを現行制度に当てはめて分かりやすくまとめると、

  • A=素内申5
  • B=素内申4
  • C=素内申3
  • D=素内申2
  • E=素内申1
  • F=素内申0

つまり、『英語スピーキング』という英語から独立した新しい教科が1科目増え、テスト当日の一発テストにより、内申5~1が決定されるということになります。

現中学2年生からスタート

 さてこのスピーキングテストですが、令和5年度(令和4年度実施)ということですので、2021年令和3年現在中学2年生の都立入試から導入実施されます。

具体的には以下の日程が告知されています。

2022年11月27日(日)

※予備日12月18日(日)

ESAT-J受験(外部会場)

(English Speaking Achievement Test for Junior High School Students)

冷静に考えると、スピーキング本番まであと1年余りということになりますので、現中2の生徒にとっては目前に迫って来ているといえるでしょう。

そして現在中2の生徒と言えば、正にわが家の次男ということになります。

本人には先日その旨を伝えましたが、恥ずかしがり屋の次男にとってはちょっとした試練かもしれません。

ちなみに、ESAT-Jが受けられなかった生徒は、得点0ではなく、

「学力検査の英語の得点から、仮の「ESAT-Jの結果」を求め、総合得点に加算
する。」

ことになります。

英語が共通問題の一般校の場合はそれなりの得点換算指針が出されそうですが、日比谷をはじめとする自校作成問題で英語を評価する進学指導重点校の場合、スピーキング不受験者をどう評価するか、現時点でははっきりしません。

ESAT-J受験対策教材

 英語スピーキング実施が発表された際に、学習塾関係者は特需に沸いたというニュースが流れました。

先ほど記載した通り、ある意味新しい科目が新設される訳ですから、学習塾をはじめとする教育産業界にとってはビジネスチャンスに違いありません。

初年度ということもあり、また対面実技試験ということで、これほど不安を煽りそうな科目も他にありませんから、多くの家庭が何らかの対策費用を払う可能性が高いと考えられます。

従って、塾や書籍やオンライン学習など、今後様々な対策教材が市場に出回ることになるでしょう。

私自身はこのESAT-Jに馴染みがありませんから、次男の高校受験に寄り添いながら、少しずつ様々な情報を追ってみたいと思います。

次男の高校受験まで早あと1年余り。

兄とは異なる個性と才能の持ち主が、どのような高校受験を行うのか、これから少しずつ注目していきたいと思います。

ではまた次回。