日比谷高校二次募集5名の理由

 今回は別の内容を発信する準備をしていたのですが、日比谷高校に5人の二次募集枠が出ていますので、急遽こちらの情報をお知らせすることとしました。

2019年 二次募集公示

2019年 二次募集公示

3月1日の合格発表で涙をのんだ受験生も、今年度改めて日比谷高校入学の機会が巡って来たことになります。

おそらく今回は日比谷の不合格者だけでなく、進学先に納得していない多くの受験生が出願する可能性があります。現在進学を予定している併願校にそのまま入学するのか、もう一度日比谷の門を叩くチャレンジを選択するのか、事前に予想していなかった決断に迫られます。

 

二次募集出願手続き方法

 日比谷に限らず、二次募集の出願は都立高校全校一斉に行われます。

出願期間及び出願先
  • 出願期間 3月6日(水)9時~15時
  • 出願先  志望する都立高校
出願に要する書類等
  • 入学願書
  • 調査書
  • 自己PRカード
  • 入学考査料(2,200円)
  • その他(詳細割愛)

とにかく出願まで時間がありませんから、希望する受験生は直ちに学校に出かけて調査書を受け取る必要があります。時間勝負です。

学力検査の内容
  • 試験科目 国語、数学、英語の3教科
  • 試験日  3月11日(月)8:30集合
  • 試験会場 志願した都立高校

都のルールに従えば、日比谷の二次募集も共通問題3科目のみとなるはずですが本当でしょうか?その場合の合格点は、満点を狙う争いとなるのではないでしょうか。

都教育委員会のHPには、試験とは別に面接などを行う場合があると記載があります。共通問題での選抜の場合、同点上位者が相当数出ることは十分考えられますから、もしかすると日比谷の場合は面接の実施があるかもしれません。

合格発表は3月15日金曜日となります。

 

日比谷二次募集の要因

 実は個人的には、本年度はもしかすると日比谷の二次募集があるかも知れないと想定はしていました。先の記事で、最終的に希望の学校に収まるとよいと記載したのはそうした意味を込めてのことです。

理由は学芸大学附属高校の本年度入試において、入学手続き日を都立入試前に設定したことと、例年よりも合格者を少なめに絞ったと聞いていたからです。

このため日比谷受験生の中には、学芸大第一志望で不合格だった生徒が多数いたことでしょう。逆に学芸大合格者の中には、日比谷をはじめ都立第一志望の受験生も多数含まれていたことでしょう。

このねじれ現象のため、都立合格発表後に、

 1)都立第一志望合格者の学芸大辞退

 2)学芸大の繰上げ合格発生

 3)学芸大第一志望繰上げ合格者の都立辞退

 4)繰上制度のない都立高に欠員発生

 5)二次募集

という臨界を思わせる複雑な連鎖が、短期間に受験生の中で発生したと思われます。

日比谷以外の重点校の定員割れが発生していない理由としては、国立附属に合格する上位受験生の併願先として選ばれるのが、日比谷高校に集中しているからだと思います。

他の国立附属高校と比べ学芸大は募集人員が多く、その大部分が都立では日比谷高校を併願していると考えられますし、日比谷第一志望の受験生も、国立の併願先としては学芸大附属を選択する者が多いと考えらえます。

そのため今回は、学芸大合格者の中から一定数が日比谷高校に抜けた結果、繰上げが発生し、日比谷合格者の中から一定数が学芸大附属に抜けたのだろうと想像します。

現在の都内高校受験において、日比谷と学芸大附属は良くも悪くも連星のようにお互いの引力に影響を受け合い及ぼし合いながら、バランスを保って共存しているのです。

かつては学芸大附属の方が圧倒的な引力をもって受験生を引き付けていたのだと思いますが、現在では日比谷の引力が増大してそのパワーバランスが崩れ、学校側の対応によっては今回のような事態が発生する不安定な状況になったのだと考えられます。

今回の日比谷高校二次募集の発生は、日比谷にとってネガティブというよりは、むしろ日比谷自身の引力が増大して学芸大を脅かす状況となった事実と、学芸大の入試日程の変更によって生じた受験空間の歪が発端となり、結果間接的に日比谷自らにも影響を及ぼしたものではないでしょうか。

従って、来年度以降も対応によっては同様の状況が生じる可能性はあると思います。

 

2020年度以降の対応について

 日比谷高校の武内校長と学芸大附属の大野校長は、都と国の所管の違いはあれ、都立重点校時代の旧知の中だと思われますので、本年度の入試結果を踏まえて対応の協議を行うのがよいと思います。実際既にそうした心づもりがあるかもしれません。

来年度以降も学芸大附属の合格発表が先、日比谷の合格発表が後という状況が継続するならば、結局は学芸大附属が合格者を何人出すかという点が、今回のような事態が発生する可能性の起点になるように思います。

その結果によって、日比谷高校の入学手続き者数も影響を受けることになる。

この2年は、学芸大の入試対応が極端に振れすぎるという状況がありましたが、来年度以降はその結果も見ながらうまくバランスが保たれる対応が行われることを願います。

都立目線過ぎるのかもしれませんが、個人的によいと思うのは、学芸大附属高校が2018年度の入試日程、すなわち学芸大の入学手続きを都立発表後に戻し、多すぎず少なすぎない妥当な数の正規合格者を出すことです。

そうすることで、日比谷か附高かどちらかを選択して1回に限り入学手続きを行うことになりますから、少なくとも入学手続き後の辞退という負の連鎖はなくなります。附高にとっても都立にとっても、もちろん受験生や保護者にとっても、負担や混乱が少ない結果になるのではないかと思います。

学芸大附属高校入試日程比較

学芸大附属高校入試日程比較

中には、第一志望でない受験生が合格後に入学手続し、辞退するのが悪と考える方もあるかもしれません。ただしそれを正としてしまうと、結果的に国立附属第一志望の受験生は都立併願が可能にも関わらず、都立第一志望の受験生は国立附属を併願できないということと同義になってしまうため問題が残ると思います。

いずれにしても、受験生が相互理解を示しながら合格発表や入学手続きが混乱なく実施され、多くの受験生が第一志望の学校に正規合格者として納まるような制度や仕組みとなるよう、保護者としては願ってやみません。

2019年10月27日追加:

2020年日比谷二次募集はあるか

 2020年度入試で学芸大附属高校が入学手続きの際に「入学確約書」の提出を求めることになりました。

導入の理由としては、入学辞退者をなくして入学手続きを円滑に進める意図だと思います。ですから実際に入学辞退者が減ることになれば、日比谷高校の二次募集も行われることはないでしょう。

しかしもし仮に、学芸大附属の入学辞退者がそれなりに発生した場合には、今年も日比谷の二次募集は発生する可能性が高いです。しかも欠員は昨年の5名よりむしろ増えるかもしれません。

なぜならば、学芸大側が辞退者が減る前提で正規合格者を選定する場合、合格者は入学定員数により近い数、つまり昨年より更に正規合格者が減る可能性があるからです。その状況で辞退者が想定を上回れば、昨年同様都立合格発表後に追加合格者の確保に追われることになり、結果的に昨年以上の混乱が発生することが考えらえれるからです。

この際多くの方が誤解しているのは、都立高校の合格者数は学校側が自由に調整して決めているわけではないということです。合格数は教育委員会の定めに従って決まりますので、昨年のような特殊事情が発生すれば直ちに欠員が発生するのです。

日比谷と学芸大附属の受験生はお互いに重なり合う状況があります。

ですから今年も学芸大附属入試の状況により、日比谷高校の二次募集の有無が決まるのだと考えられます。

いずれにしても、誰もが納得する形で、早く落ち着いた入試になることを願います。 

ではまた次回。

2020年日比谷二次募集への影響

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