クリスマスイブともなれば、父親としては寝息を立てるわが子の枕元に立ってプレゼントをそっと置く際の、あの緊張感がまたやってきます。
朝起きた時の子の笑顔を見る度に、報われたうれしい気持ちと同時に、いつまでサンタでいられるのか、少しの寂しさも感じます。
わが家の心優しき次男は、小学校3年生の頃からクリスマスともなれば事前にサンタに手紙を書いてプレゼントのお願いをするとともに、イブの夜には毎年サンタに向けた労いのメッセージを用意して、まだ見ぬ憧れのヒーローをもてなす準備をしています。
3年生のサンタへの手紙
サンタさんへ
まいとし、クリスマスプレゼントをくれてありがとうございます。
そとはさむいですよね。だからすこしでもぼくの家でからだをあたためてから行ってもいいですよ。
クッキーとさめてるとおもうけどホットミルクをよういしたのでぜひたべたりのんたりしてください。
〇〇 〇〇より
この手紙を初めて目にしたとき、サンタは何と感動したことだろう。
小学校3年生の子が、こんなにも温かく自分の感謝の気持ちを伝えることができるなんて。しかも誰からも促されることなく、自らのアイディアで。
日ごろ自分の考えをあまり言葉で表さない次男の、感受性の豊かさに、心震えました。
そしてこんなにも他者のことを気遣うことができるなんて、日ごろから自分よりも母親を思いやる様子を見せる彼は、本当に心優しい子なんだなと、その時改めて知るに至ったのです。
4年生のサンタへの手紙
サンタさんへ
いつも毎年プレゼントをくれてありがとうございます。
つかれたと思うからこの手紙のそばにクッキーとホットミルクがあるので食べたり飲んだりしてください。
〇〇より
1年たっても変わらない、それでいて少し成長したクールな心持ちの、サンタへの思いが伝わってきて微笑ましい。
そして学校での漢字の学習効果が如実に現れていておもしろい。
3年生の頃よりは少し冷静な自分がありながら、まだまだサンタへの疑いのない素直な想いが伝わってきます。
5年生のサンタへの手紙
サンタさんへ
いつも
毎年のクリスマスの日にクリスマスプレゼントをくれてありがとうございます。
僕はもうすぐじゅくが始まります。少し不安でもありますががんばります。
サンタさんの国で見守っててください。
毎年同じ感謝の気持ちが自然とこみ上げながら、ふと、5年生の終わりから塾に行くことになるのではないかという環境変化への不安が強くこみあげて、ある種の決意表明に変わる。
短くも、子ども心が抱く未知の環境への不安な気持ちと、引き続きサンタへの疑いのない厚い信頼が素直に垣間見える文章です。
6年生のサンタへの手紙
サンタさんへ
いままでクリスマスの日にプレゼントをくださってありがとうございます。毎年、クリスマスの日が楽しみで、いつも欲ばってたくさん頼んでしまいました。しかし、それに応えてくれるようなプレゼントを毎年くれました。本当に感謝しています。
今までありがとうございました。
サンタさんみたいな人になりたいです。応援しています。
〇〇 〇〇より
そして今年、これまでイヴの夜に向けてこっそり書かれた手紙とは異なり、ほしいものプレゼントリストと共に予め書かれたこの手紙を目にした時、ああもう彼はサンタが何者であるかを知っているのだなと悟りました。
サンタからの卒業です。
そしてそれを思うとき、同時に父親への控えめで深い感謝の気持ちが伝わり、心が熱くなりました。
日ごろ既に、反抗的で父の言動を快く受け入れない態度が強く現れる中での、この卒業宣言であり表彰式のような一連の言葉には、逆にわが子への感謝の気持ちが込み上げてきます。
ああ、彼の父親であってよかったと。
これから先、父親としてどのような辛い気持ちが訪れるか今は定かではない中で、何とかやっていけるのではないか。
いよいよ中学生となる次男のこれまでの成長の速さと、子供から少年、そして青年から大人へと変わる階段を足早に上り始めた今、改めて父としての子育てへの感謝と愛情を確かめながら、クリスマスイヴにサンタに贈られた手紙を読み返し、寒い夜の愛情とミルクの温もりを想像してみるのでした。
2019年12月24日
妻と子供たちに感謝を込めて
Merry X'mas
ではまた次回。
心優しきわが子の父への手紙
お勧めしたい父親の読み聞かせ
公立中学へ進学するわが子への父の想い
コロナの中の卒業式