日比谷高校を志す君に贈る父の言葉

世間知らずな父の元で、東大生の兄と勉強嫌いな弟が織りなす家族の物語

新型コロナで深まる子供のテレコミュニケーション

  3月2日に始まった休校期間が1か月を過ぎました。

この間、小中高生をもつ多くの保護者に共通した頭痛の種が、長時間自宅にいる子供たちの過ごし方ではないでしょうか。

新学期を迎えるにあたり、学習にどう対応するかということはもちろんですが、それ以上に多くの保護者を悩ませているのが、ゲームやデジタルデバイスとの関わり方です。

特に、ゲームばかりでなく、スマホやタブレットが身近にある今日、ネットゲームや動画視聴などに長い時間をかけ過ぎているわが子の様子を心配する親たちの悲鳴が聞こえてきそうな状況です。

ちょうどそんな折、香川県では3月18日に「ネット・ゲーム依存症対策条例案」が可決され、1日60分のネット上限が設けられることとなりました。

保護者の中には自分の自治体でも同様に、行政が制限をかけてくれればよいのにと考える方がいるかもしれません。

わが家でも御多分に漏れず、毎日長時間自宅でネットゲームやYouTubeに釘付けとなっていますが、それでも今はそうした状況を概ね静かに見守っているところです。

一人の親としては様々気になるところですが、新型コロナで子供たちの自由が奪われる中、正直言うとオンラインゲームやスマホがあってよかったなとむしろ感じています。

その理由は、子供たちがそうしたデジタルデバイスを使いこなしながら、外で集まって遊ぶことができないストレスをうまく回避しながら、コミュニケーション豊かに友人との親交を深めている現実があるからです。

 

Discordとネットゲーム

 どうもプロゲーマーに淡い憧れを抱いているらしき次男。

家庭用ゲーム機でネットに繋がる際に、クリスマスにゲットしたゲーム専用のキーボードやヘッドセットを愛用しています。

そして、オンラインゲームを友人と楽しむ際に利用しているのが、”Discord(ディスコード)”と呼ばれるゲーマー用のボイスチャットシステムです。

ニンテンドースイッチで友人と一緒にゲームに参加しながら、スマホでこのディスコードに並行してアクセスし、仲間とのコミュニケーションを図っています。

一般的にはあまり馴染みがないと思われるこの海外製のアプリですが、どうもゲーマーにとっては御用達アプリのようです。

画像出典:Discordホームページ

画像出典:Discordホームページ

わが家では、小学校6年生の次男に対して本人専用iPhonとiPadを機能制限なしで渡していることもあり、自分で様々調べながら友人とのテレコミュニケーション環境を整えています。

その中でゲーム仲間の間で急速に広まったのが、このコミュニケーションツールです。

次男の周辺では、LINEよりもこのDiscordが普及している様子。新しいメッセージが到着したことを示すアラートがよく鳴っています。

テレビ画面を見ながらネットゲームを操作しつつ、装着したヘッドセットで仲間たちと連絡を取りながら、ゲーム展開を有利に進めるためにアイテムの譲り合いをしたり、次に向かうべき目的地の相談をしたり、戦術的な立ち回りの指示確認などをリアルタイムで行っています。

ゲーム操作のためにキーボードを叩いたり、マウスで照準を合わせたり、スマホで意味不明な用語を検索したりしながら、忙しそうにゲームに向かっています。

その光景は、お受験ママなり香川県の県会議員の方にとっては卒倒してしまうような状況が広がっていると思うのですが、デジタルネイティブと呼ばれる世代の子供たちにとっては、それがむしろ当たり前の世界なのかもしれません。

ソファに転がりながら一日中スマホをいじったりアニメを見たりしている長男とは異なる、次男独特の世界が繰り広げられるのを興味をもって見守っています。

そうした状況を肯定的に捉えることができれば、正直言って現代社会を知る上で、なかなかの勉強になることも確かです。 

 

新型コロナとテレワーク

 要するに次男の仲間たちは、図らずも新型コロナが蔓延する以前から、テレワークに親しみ今回の事態に備えていたことになります。

ですから突然の休校となり、親しい仲間と容易に会うことができなくなった現在も、それまでと変わらず毎日友人と会話しながら、オンライン上で一緒に遊んでいます。

その状況は、にわかに在宅勤務やテレワークを始めた世のビジネスマンの感覚と比較すると、ずっと自然で違和感のない世界なのだと思います。

学校や公園で対面しながら直接コミュニケーションが取れない状況でも、それほど大きなストレスには感じていないようです。むしろそのような遊び方をすることが世の中から承認されたような、そんなポジティブな感情を持っているのかもしれません。

いずれにしても、外で自由に仲間たちと交流することが難しい今の子供にとって、バーチャル世界であれ気の合った仲間とリアルタイムでコミュニケーショができることは、精神衛生上も好ましいことではないかと感じます。

この状況がまだまだ長く、もっと深刻な状況となって続くような場合には、子どもたちが友人と気軽につながることができるツールを確保することは、犯罪や非行といったネガティブな状況の発生を心配する以前に、子のメンタルや精神衛生上もっと差し迫った大切な解決策の一つではないかと感じます。

 

SNSがもたらす新たな次男の発見

 晴れて中学生となった次男のスマホに、この4月からLINEをインストールしました。

家族ラインに参加してもらうためです。

インストールして本人にスマホを渡した直後から、もうアプリを難なく使いこなす様子に長男も驚いていました。

 兄:”○○がLineを使いこなしている(涙)”

 弟:そんなことないお。

 弟:まだまだ知らないことだらけ。

 弟:なんでLINE使いこなしてるって思ったの?

 兄:普通に写真送ってたから。

弟を家族ライングループに迎え入れたそばから、このようなコミュニケーションが始まって気づいたことがあります。

それはこれまで12年間接して感じていたリアルな次男のイメージと、ラインを通じてコミュニケーションを図る次男のキャラクターが、微妙に違っているということです。

SNS上の次男の方が、ずっと感情豊かで面白いキャラに見えるのです。

12歳の難しい年ごろということもあり、リアル世界ではツンツンな態度を見せる次男ですが、ライン上では数文字の中に、日ごろの会話の中では決して見せることのない、面白味のある人間性を垣間見ることができるのです。

「そんなことないお」

最後の”お”はもしかすると”よ”の打ち間違いかもしれません。でもその他のごく短い文節に現れる表現に照らしてみると、やっぱり”お”なんだと感じてしまいます。

日頃の会話の中では、

「別に」

「ふつう」

といった投げやりな回答が多い次男ですが、こんなコミカルな一面があるとは、父親であってもこれまで知りえなかったことですから、今は次男とラインでやり取りすることに面白みを感じています。

そして次男の方でも、私と直接話す時よりも、ずっと自然体でコミュニケーションを図ることができるようです。

 

コロナ長期休校の中で

 小学校低学年を持つ会社の部下と話をしていても、やはり心配の種は子供たちが家の中でゲームばかりして、しかもなかなか止められない状況にあるということです。

そのような中で、長い時間一緒に過ごす母親の側も、勉強がおろそかになりがちな状況の中でゲームばかりしている子どもの姿を眺め続けることに相当なストレスを感じているはずです。

でも今は、日ごろの考えは少し改めてみるのもよいかもしれません。

ネットやスマホがわが家にあってよかったと。

そのおかげで、離れて暮らす実家の両親や学校の仲間たちと、子どもがコミュニケーションを図ることが可能となるわけですから。

ネットゲームや動画視聴に夢中になる子供たちの姿を見守ることに、不安や我慢の限界を感じる保護者の気持ちは本当によく理解できます。

なにしろ私自身も長男が小学生の頃には、一切ゲーム機を買い与えようとはしなかったゲーム否定派だったからです。

でも家族と一緒に海外で暮らし始めた際に、そうした考えは少し変わりました。現在のコロナのように、子どもが自由に友だちと会って遊ぶことが難しい環境にあったからです。

そしてオンラインゲームで一緒になって遊んでみると、実際に楽しい時間が過ごせることが分ったからです。

モノポリーを中心に、ボードゲームやカードゲームは子どもたちと一緒に長い間積極的に関わってきましたが、次男がオンラインゲームで仲間と一緒に遊ぶことが大好きだと分かってからは、ネットゲーム環境の充実にも積極的に協力してきました。

本人が本当に好きなことであれば、排除する前に一度しっかり関わって、状況を確認してみたいと思ったからです。

新型コロナウイルスに世界が包まれてしまった今、世界中の子供たちが孤立しやすい状況に置かれています。

そんな時こそ、テレコミュニケーション手段としてのSNSやオンラインゲームが果たす前向きな役割を、もっと評価してもよいのかもしれません。

ではまた次回。

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