1月6日アメリカ大統領選の結末

アメリカ両院合同会議:写真出典Wikipedia

アメリカ両院合同会議:写真出典Wikipedia

 12月14日の選挙人投票が終わり、バイデンが次期アメリカ大統領となることが疑いない事実であるとするマスコミの報道の中にあって、ネット上では異なる選挙の結末について、一層の熱を帯びて語られる状況が続いています。

新聞やテレビなど、日本の報道機関を主な情報元として生活している場合、大統領選は既に結果の明白な出来事であり、海の向こうの話題よりも、現在は国内におけるコロナ感染拡大が最大の関心事であるかのように暮らしているのかもしれません。

昭和生まれの保護者の方の多くが、そのように感じているのではないでしょうか。

ただし厳密には、12月の段階で新しい大統領が確定したわけではないことは確かなようです。14日に行われた各州選挙人による投票は、年明け1月6日に上下両院合同会議場で行われる開票まで持ち越され、そこで初めて結果が明らかとなり次期大統領が承認される習わしであるからです。

そして既に選挙は確定したと考える人々をよそに、トランプ支持者が多いとされるネット上では、正にその1月6日に行われる連邦議会が、トランプ再選に向けた天下分け目の関ヶ原という様相で、その結末への方法論についてますます激しく議論が交わされています。

 

現実と仮想現実の世界

 2020年の米大統領選で如実に感じることは、アメリカ国内はもちろんのこと、日本においても、相容れない異なる二つのイデオロギー世界が存在するということです。

その二つの世界とはすなわち、トランプと反トランプの世界であり、どちらかが真実の世界でどちらかが虚偽の世界、どちらかが常識的な世界の住人でどちらかが狂気の世界の住人ということになります。

そしてその相反する平行世界のそれぞれの価値観を端的に象徴するものが、マスコミで流される表の報道とインターネット上で示される裏の情報になります。

具体的には以下の通りです。

表裏異なる二つの情報
  • マスメディアの情報
    バイデンが次期大統領候補に確定する中、狂気のトランプとその支持者は、選挙が不正に行われたという利己的な主張を繰り返し社会の分断を招いている。トランプ支持者は暴力的で危険な集団である。
  • インターネットの情報
    米大統領選は影の政府と中国共産党に乗っ取られ、大量の不正郵便投票や電子投票システムの不正プログラムによりトランプの勝利が奪われた。現在民主主義と自由世界は崩壊の危機に面している。アンティファやBLM運動を抱える反トランプ陣営が暴力的な破壊活動を行っている。

いわゆる常識と呼ばれるものからすると、マスメディアの情報がまともな社会人の判断であり、ネット上に流れるトランプとその支持者の行動は、社会を分断や混乱へと追い込む元凶であるとの判断に至ります。

選挙は終わり、次期大統領のバイデンが就任を待つばかりであるのに今更何を騒いでいるのかと。

一方で、トランプ支持者が共有する選挙は、具体的には『007』や『MI』といったスパイ映画のできすぎた脚本以上の演出に彩られた、にわかには信じがたい内容です。

トランプ支持者の世界観
  • 民主党はネオコン(軍産共同体)や金融関係者、大手マスコミなどと共謀してディープステート(影の政府)を形成し、彼らに対峙するトランプとその支持者を狂気の集団のように印象操作することで、トランプの再選を阻んできた。
  • 2016年大統領選でも不正選挙は準備されたが、大差で勝利すると油断したヒラリー陣営が、トランプに激戦州で競り負け敗れた。
  • 2020年大統領選では、前回の轍を踏まないよう周到に大規模不正選挙を仕掛けたが、トランプ票が想定以上に強く、事前に準備した不正だけではバイデンの勝利が困難になったため、終盤に大量の不正投票用紙を送りこんで辛くも勝利した。
  • その結果、激戦州で投票率100%を超える投票数や”バイデン・ジャンプ”と呼ばれる統計上不可能とされる異常な投票数の伸びが確認され、不正に焦点が当たる原因の一端となった。
  • 今回はコロナを理由に、多くの州政府や選挙管理委員の判断で郵便投票が実施されたが、憲法上選挙方式を決定できるのは州義会であり憲法違反の状態である。
  • 多くの州の役人が買収された結果、不正選挙のために開発された電子投票機ドミニオンが各地で導入され、不正プログラムによりトランプ票からバイデン票への書き換えが大規模に行われた。不正にはCIAが組織的に絡んでいる。
  • 不正を除く合法的な投票による選挙はトランプの圧勝で、実際のバイデンの得票数は史上最多とは程遠い結果である。
  • 現在アメリカはFBIやCIAを含む影の政府と、警察やアメリカ軍を含むトランプ陣営との内戦状態にあり、ドイツ・フランクフルトに設置されたドミニオンサーバーを米軍がCIAから奪取する際に銃撃戦が起こり、CIAと米軍双方に死者が出るに至った。またこの際、現場にいたCIA長官が米軍に確保され、不正選挙についての尋問が行われている。
  • 中国共産党の選挙介入事実を根拠に、トランプ現大統領が戒厳令を発令する。
  • 1月6日の両院合同議会で行われる選挙人投票の開票に際し、議長であるペンス現副大統領が不正選挙区の投票結果を承認せず、結果的にバイデンの大統領就任は実現せず、トランプの再選に終わる。

以上、要点のみ抜き出してみても直ちには信じがたい内容で、NHKを間違いのない情報源と信じるような常識人からすれば、いわゆる極端な陰謀論として片づけられる種類の情報に違いありません。

トランプとその支持者が、オウム真理教のような反社集団のように見えるのも自然なことでしょう。

 

インテリジェンスとSNS

 トランプ支持者の主張に耳を傾けるかどうかは別にして、少なくとも日本国内のマスコミ報道に接する限りでは、大統領選挙に絡みドイツ国内でCIAとアメリカ軍の間に銃撃戦が発生し、相互に死者まで出ているという異常事態について、それが真実かフェイクか以前に、そのような情報が発生していることすら分かりません。

もし仮に、先に掲げたトランプ陣営の主張の一部分でも実際にアメリカ社会で起きていることであれば、いったい報道とは何のために存在するのかという疑問が生じます。

報道することで意図的に形成する世論=プロパガンダは、マスコミが得意とする活動だと思いますが、報道しないことで形成を逃れる世論誘導の方が日常的に多いのではないかと感じる程です。

従来は、そのような情報操作をインテリジェンスと呼んで社会誘導の手段としてマスコミを通じて容易に活用できたのだと思いますが、現在はSNSやインターネット情報網の発達により、闇の政府の会話の内容までがSNSで瞬時に拡散する世の中になり、諜報活動がしにくい状況がありそうです。

有史以来、歴史の大部分が陰謀や諜報によって形成されてきたのだと思いますが、そうした水面下の活動が、真実も嘘も含めてこれほど明確な形で表に現れ共有されるのは、人類にとって初めて経験することではないでしょうか。

そしてそれは、報道という間接的で恣意的な情報の独占的商社の力と信頼が弱体化した結果生じたムーブメントだと言えるでしょう。

ネットとデジタルデバイスの発達により、一般市民の目がリアルタイムで情報を発見し、追跡し、公開し、共有するという手段を手に入れた現代では、報道しない自由も、極秘裏であるはずのインテリジェンスも、その恣意的な加工履歴も、発信しない情報黙殺の事実も含めて、公の目に触れやすい状況にあると言えそうです。

そういう意味では、個人も法人も含めて玉石混合の現在の無秩序な情報プラットフォームの乱立は、その中から真実を紡ぎだすスキルが個人の側に求められるにせよ、むしろ適切な状況といえるのかもしれません。

 

2021年1月6日に何が起きるか

 これまで述べた通り、テレビやマスコミといったメインストリームの報道と、SNSを中心としたインターネット上の情報には、同じ時代の同じ地球上に生きているとは思えない程かけ離れた情報が存在しています。

1月6日には、このまま何事もなかったようにバイデンが大統領候補として正式に選ばれるのか、あるいは共和党とトランプ陣営の巻き返し劇場が繰り広げられるのか。

あるいは1月6日には何事も起きず、1月20日の大統領就任式当日までに更なる動きがみられるのか、ネット上の言論活動はまだまだ収束しそうもありません。

今回の大統領選で理解される世界とは、民主党やネオコンを中心とする革新的なグローバリスト集団と、トランプを中心とする保守的なナショナリスト集団の対立軸に、虎視眈々と世界征服を狙う中国共産党が食い込んでいるという構図。

そう見ると、グローバリストである民主党と、地球支配を目指す中国共産党は、既存文化や価値観の破壊という点においては目的を共有し、協業することが利益の一致をみる合理的な関係性であるようにも感じます。

ただその関係性は、トランプ支持者の目から見ると、対等の関係性ではなく既に民主党が中国共産党に飲まれた結果と映っているようです。

トランプ陣営や保守言論層が、今回の大統領選挙が自由世界と中国共産党の闘いと叫ぶのは、保守的な有権者を取り込むための選挙戦略という以上に、国家や文化の枠組みといった既存価値の継続を求める人々の、いわゆる愛国心から芽生える正義感であることは確かなことなのかもしれません。

 

日本のトランプ支持者の心理

 日本語と日本的な価値観が、未来永劫ずっと地球上に存在することを願う立場からすると、日本人にトランプ支持者が多いという理由も簡単に理解できます。

民主党や中国共産党の主導する世界は、既存の枠組や価値観を破壊する、脅威以外の何物でもないからです。

どちらが世界を主導するにしても、また日本という国家の枠組みがあろうともなかろうとも、将来的には日本語は消滅し、英語または中国語中心の地球世界が実現する方向に進むという世界への抵抗。

日本的な価値観を維持するためには、共和党保守政権が維持されなければならないという保守意識が強く、特に押し出しの強いトランプは、保守世界にとっての救世主であり英雄というアイコンとして受け入れられがちな状況です。

キリストの十字架のように、トランプも今まさに殉教の危機に瀕しているのだと。

マスメディアからも、FacebookやTwitter、Youtubeといった庶民の味方であるはずのSNSからも総攻撃を受けボロボロになりながら、世界を救済しようとしている。

そのような世界観を抱く人々にとっては、日本国内における学校教育での英語強化をはじめ、外国人労働者の受け入れや外国人による土地購入問題、外国人参政権といった国内政策が、静かに進む外国からの被侵略政策だと映り、また香港やチベット、内モンゴルで発生している民族アイデンティティの消滅、そして台湾の置かれた状況と相まって、トランプ政権が負けることが即ち、日本と自由世界の終わりの始まりという危機感として共有されているのだと思います。

そうした考えや心理状況が正しく健全であるのかは別にして、日本語の維持を意識している私自身にとっては、保守系日本人がそのように感じ考えてるということに関しては共感し理解できるところがあります。

 

NETFLIXやAmazonより大統領選

 大手マスコミの情報が正しいのか、ネット上の情報が正しいのかは別にして、今回の大統領選は面白いことだけは確かです。

NETFLIXのオリジナルドラマや、アマゾンプライムで流れる映画やドラマの数々よりも、大統領選で繰り広げられている表と裏の情報戦を眺めている方がずっと面白いと感じています。

今回ネットが盛り上がるのは、世界の行方に関わる重大なイベントであるというだけではなく、もしかすると、コロナ禍でストレスを抱えた世界の人々が、自らの不満や欲求を吐き出すための優れた娯楽だと潜在的に感じているからかもしれません。

表の側も裏の側も認める認識としては、今回の選挙はトランプ対反トランプの闘いであり、トランプ大統領は、どんな映画やドラマの主人公よりもキャラが立つ非常にエンターテイメント性に優れた主演男優だということです。

そしてそれを取り巻く脇役が、影の政府と目されるディープ・ステートや、史上最高の悪役にふさわしい中国共産党である以上、これを超える大作は現在も将来も誰も創作できないような完璧な筋書きに彩られているような状況です。

そうした目で見ると、一般市民にとっては迷惑な話ですが、新型コロナの発生も、大統領選を面白く演出するために仕掛けられた煙幕のようなアイテムの一つなのかもしれないと感じる程です。

年末年始、コロナの影響で自宅待機が暗黙的に強要されている世界において、このような世界的な劇場型のリアルドラマの一つのクライマックスが1月6日に設定されていることは、外出もままならない視聴者を釘づけにするためのできすぎた筋書きの一部であるのかもしれません。

この巧妙な物語を、書いている者が存在するのでしょうか。

その場合、その結末はどのように結ばれているのでしょうか。

まだしばらくはこのドラマから目が離せません。

ではまた次回。

 

マスネディアの役割

大統領選投票直前の状況 

日本的価値観の存続に向けて

物語の始まり、2016年大統領選挙