2022年 日比谷入試平均点予想

 2022年度都立高校入試も無事終了。

例年試験後直ちに速報を発信する東京子育て研究所ですが、今年は情報をお届けするのがなかなか難しい状況があります。理由は本年度から導入された男女合同定員の影響で、日比谷高校が入試情報を非開示としているからです。

昨年度もコロナの影響により極度の緊張感の中実施された入試ですが、今年はそれ以上に特殊な状況が重なった入試ということができると思います。

コロナ以外に本年度加わったの特殊要因としては、

  • 男女合同定員初年度
  • 悠仁親王の高校受験

が挙げられます。この二つは後にも先にも発生しないであろう本年度特有の事情であり、そのため影響を見極めることは非常に難しい状況です。

それでも合格発表まで1週間ある中で、特殊な環境下にあって不安の大きい状況であるからこそ、一つの考え方としての入試予測速報をお届けしたいと思います。

男女合格倍率予測

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先の記事に記載した通り、日比谷高校のホームページでは、例年リアルタイムで発表している入試状況を本年度は公開していません。しかもその情報の公開時期は5月頃となっており、入学式が終了した更に後の公表となります。

合格予想に影響する肝心の受験者数が公表されていないため、実際の受験倍率がどの程度か、全く分からない状況にあります。

それでも何とか情報をお届けするために、過去の統計データに基づき概算としての入試結果について考えたいと思います。 

まずは各教科の難易度と予想得点について考えます。考察の根拠とするのは、SAPIX中学部がリセマムを通じて公表している入試レビューとなります。

2022日比谷英語:やや易化

2022日比谷英語/出典:リセマム・SAPIX中学部

2022日比谷英語/出典:リセマム・SAPIX中学部

本年度の英語は2021年と比較して、

  • 思考力
  • 記述力

に1ランクの易化が見られます。この二つの項目に関しては、過4年間で最も難易度が低い状況となります。

最近の高校入試上位校の英語では、英語を使った国語や理科社会の問題といった思考力重視の傾向が進んでいますが、本年度の日比谷英語では、そうした傾向はひと段落して従来の英語の試験という傾向が強かったのかもしれません。

昨年度はコロナへの配慮で関係代名詞が範囲外となるなど平均点が上昇しましたが、この状況であれば、本年度も英語の平均点は上昇するものと考えられます。

尚、このところ日比谷英語の名物として定着する感のあったイラスト英作文問題は、今年は傾向が変わりました。2つの資料を確認して意見を50語以上の英語で述べるという設問となりましたが、引き続き高い英語力と物事に対する客観的な判断や意見が求められることに変わりありません。

2022日比谷数学:昨年並み

 ネット上の受験生の評価では、今年の日比谷数学は難化したという声が多いように感じます。実際の評価はどのようになっているでしょうか。

2022日比谷数学/出典:リセマム・SAPIX中学部

2022日比谷数学/出典:リセマム・SAPIX中学部

SAPIX中学部の分析によれば、本年度の数学は2021年並みの難易度と評価されています。平面図形が出題されていないなど、出題の分野傾向も昨年と同様となっています。

日比谷数学はコロナへの配慮か、2021年度にかなり易化が見られましたので、今年は難化への揺れ戻しがあるかと思いましたが、本年度も取り組みやすさという点では昨年並みのようです。

このため客観的に考えると、数学は昨年並みに高めの平均点に落ち着くと考えられます。数学が得意な受験生にとってはやや物足りない状況かもしれません。

2022日比谷国語:昨年並み

 国語に関しては、評価軸が昨年より変更となっているためあくまで2021年との比較ですが、数学同様レーダーチャート上の難易度には変化がありません。

2022日比谷国語/出典:リセマム・SAPIX中学部

2022日比谷国語/出典:リセマム・SAPIX中学部

このため国語に関しても昨年並みの平均点と考えるのが妥当ということになります。

以上、日比谷高校が独自問題として出題する3教科に関して確認しました。

昨年と比較して英語はやや解きやすく、数学と国語に関しては昨年並みということになります。

では次に、全ての学校に共通する理科社会について確認します。

2022共通問題|理科:やや易化

2022理科共通問題/出典:リセマム・SAPIX中学部

2022理科共通問題/出典:リセマム・SAPIX中学部


共通問題である理科に関しては、「記述力」に関し一段階易化の評価となっています。

本年度の理科は典型的な出題傾向が多くみられ、計算問題が減るなど比較的取組みやすい内容になったようです。

理科に関しては2020年度の突然の大幅難化の反省でしょうか、この2年を通じてどのレベルの生徒であっても回答が可能な出題傾向へと回帰している様子が伺えます。

 

2022共通問題|社会:易化

2022社会共通問題/出典:リセマム・SAPIX中学部

2022社会共通問題/出典:リセマム・SAPIX中学部

では次に社会ですが、社会に関しては大きな難易度変化が見られます。

レーダーチャートグラフを確認する限りでは、思考力、スピード、知識、分析力、記述力いずれの項目に関しても昨年より1ランク易化しています。

図で見ると同じ大きさのように見えますが、本年度の表示枠が一回り大きいことに注意してみると、どの指標もレベルが下がっていることに気づきます。

ただ分野別の問題分析を確認すると、日本地理の計算処理が難化したり、総合問題では新傾向の出題がされるなど、過去の問題よりは難しく感じる傾向もそれなり見られたようですが、科目全体のレベルで見ると比較的取組みやすい難易度だったということかもしれません。

そしてこの社会の評価は、ネット上にあふれる受験生の声とは評価が最も乖離しているように思います。SNS上では、理科は易化、社会は難化という意見が多いように感じますが、実際のところはどうでしょうか?

2022日比谷想定平均点

 それでは確認した5教科の難易度に基づき、本年度の平均点を想定してみたいと思います。

注意事項として、本考察はあくまで個人的な見解であって、実際の結果とは必ずしも一致しない点を予めお知らせします。では見てみましょう。

2022年度 日比谷高校入試想定平均点

SAPIX中学部による入試問題分析によると、本年度の平均点は男女とも昨年より上がる可能性が高いと考えらえれます。

コロナの影響でしょうか、昨年大幅に上がった平均点を本年度は戻してくることもできたはずですが、英数国とも平均点が50点を下回るような状況とは異なるそれなりの入試難易度となりました。

本年度から男女合同定員が行われることを考えると、テストの難易度を上げた方が性別に関わらず学力の高い生徒の合格が促されるように思いますが、日比谷高校はそのような選択は行わなかったようです。

もしかすると、コロナが続く間は現状維持を続けるのかもしれません。いずれにしても、ここで示した結果では、本年度も平均点は高止まりしそうな状況となります。

では、予想平均点に基づく1,000点満点換算の平均合格点を確認してみましょう。

2022日比谷平均合計点予測

 改めての注意点ですが、本記事でお伝えしている情報は、あくまで個人の予測であって、実際のところは蓋を開けてみないと分かりません。その点を十分理解いただき、悲観的にも楽観的にもなり過ぎず、あくまで参考情報としてご覧ください。

尚、内申平均点については例年並みの、男子平均42.0点、女子平均42.6点を採用します。ただし内申点については、表面上同じ点数であっても、得点が2倍される4教科の内申点状況により換算内申点が異なりますので、上下の幅が生じることになります。

内申点45点満点を300点に換算する方法は、本文章の最後に掲載する別の記事をご確認ください。

2022年度日比谷高校入試合計点予想

1,000点満点における受験者平均点は、中間値として男子で797点、女子で777点となりました。

日比谷高校の学校説明会に参加すると、合格ボーダーは平均点の少し下辺りとのアナウンスがあります。ただし、今年は男女ぞれぞれ定員の1割について、男女合同定員に割り当てられることから、一般枠での合格ボーダーは例年より1点ほど高めに設定されるかも分かりません。

今回の結果からすると、男子で790点、女子では770点を確保することが求められるのではないかと覚悟した上で楽観的に待つということが、今求められる気持ちの整理ということになるのかもしれません。

男女合同定員枠の行方

 男女の平均合計点が今見たような傾向である場合、男女の平均合計点は最大で20点ほど男子の方が高いという結果になります。

一般的に受験者の得点が平均辺りに正規分布する場合には、平均点の前後に多くの受験生が集まり、1点の差で合否を分けるということになります。

この場合、少なくとも日比谷高校に関しては、男女合同枠は男子受験生に有利に働くと考えるのが妥当ということになります。平均点付近でギリギリで不合格となる男女それぞれの受験生を比較すると、男子不合格者の方が総合得点が高いことになるからです。

本年度の全体の男女の募集人員はそれぞれ132人および122人と公表されています。

1割ルールが切上げか切り捨てか分かりませんが、仮に切捨てとした場合に男女それぞれ13人と12人、合計25人の合同選抜枠が確保されます。

男女平均点が20点近く離れる場合、1点刻みの中に複数の受験生が含まれることを考えると、25人の合同枠の多くについてはやはり男子が占める可能性が高いのではないかと予測されます。

このため男子は少し楽観的に、女子は少し悲観的に、今ある自分の得点を見つめる心づもりがあるとよいかもしれません。

そしてもう一つ。

冒頭に特殊事情として挙げた悠仁親王の筑波大附属高校入学が、本年度の日比谷高校入試にどう影響を与えるか。

もし仮に、筑波大附属第一志望の受験生の中にネガティブな感情があり、他の高校に入学を希望する生徒が例年よりも多いとする場合、本年度の日比谷高校受験辞退者は例年よりも少なく、競争がより厳しい状況となっているかもしれません。

現状学校側が入試状況を公表していない以上、全ては結果が確定するまでは本当のところは分かりません。

もしこの文章を読んで、悲観的な気持ちになる受験生があるならば、それでも最後まであきらめずに心を強く持って結果を待つことが大切だとお伝えしたいです。

何故ならば君たちは長く続くコロナ禍にあって、自由に学校生活を謳歌することもままならない状況の中でトップを目指して努力してきたのであるし、何といっても日比谷高校が受験情報を5月まで公表せずに保留するという、普通に考えるとあり得ないような選択をした以上、本当に最後の最後まで、何が起きるか分からないのだから。

3月1日、春の予感と共に良い知らせが一人一人に届くことを願って止みません。

ではまた次回。