厚労省データ改ざん、コロナ新規陽性数のリアル

厚労省データ改ざん

 10万人当たりのコロナ陽性者数について、厚生労働省が誤解を招くデータを(おそらく恣意的に)流していた問題に対し、世間の反応としては、結果的に”未接種者と接種者の陽性割合が実際は拮抗していた”という認識で落ち着いているように思います。

ところがこの認識は正しくはなく、実際には接種済みの新規陽性数が過小評価のまま放置されている状況にあります。

今回は、「出所のはっきりしているデータと、取材を交えて真摯にお伝えする」CBC大石アナの動画解説を根拠に、ワクチン接種済み者の陽性割合の実態について考えてみたいと思います。

改竄と二重三重のレトリック

 ではまずは、厚生労働省が公表する数字の正しい認識について整理します。

1)改竄データのカウント方式

厚生労働省:データ改ざんカウント方式

厚生労働省:データ改ざんカウント方式

4月10日までの厚生労働省の発表資料では、写真の通り、

  • 接種済み、かつ接種歴未記入

の陽性者について「ワクチン未接種」の陽性者数としてカウントしていた不可解な事実に対し、厚生労働大臣自体が事実を認め、国会答弁で次の通り語っています。

ワクチン接種歴が未記入な方について、厚生労働省が未接種に計上し、感染症研究所が接種歴不明に計上していたと、それを厚生労働省の資料においても感染症研究所と同様に接種歴不明として取り扱うことといたしましたけれども、、、

2022年5月17日 参議院厚生労働委員会

「接種済み」であることを認識した上で、その数を「未接種」にカウントすることは、一般常識からみて考えられないことですが、大臣答弁から明らかなことは、これはミスではなく国が意図的にデータをそのように扱っていたということです。

その何らかとは、ワクチン接種の効果が高いことを訴えることで、国民のワクチン接種を推進することに他ならないと考えられます。

これは社会通念上、悪質な詐欺的行為とみなされるべき対応ではないでしょうか。

2)現在のデータカウント方式

 データ改ざんの指摘を受けた厚生労働省は、ワクチン接種済みの新規陽性者のカウント方式について以下のように変更しました。

厚生労働省:訂正後カウント方式(現在方式)

厚生労働省:訂正後カウント方式(現在方式)

大臣答弁の通り、接種済みで接種年月日が不明な陽性者は、現在「接種歴不明」にカウントされるように扱い変更となりました。

未接種と接種済みの10万人当たりの新規陽性集が拮抗しているグラフは、この新たなカウント方式での数字を示したものとなります。

CBC大石アナ解説:厚労省データ改ざん

ツイッターをはじめとするSNS界隈からは、このデータ改ざんが世間を騒がしている状況が伺えますが、国がデータを訂正し、接種者と未接種者の新規陽性割合が拮抗した段階で、何故だか溜飲を下げて納得してしまったように感じます。

ところが実際には、この訂正後の数字の扱い自体が、それまで接種済みを未接種にカウントしていたのと同程度に疑問を持つべき状況にあります。

何故ならば、「接種済み」と陽性者本人がはっきり認識した数を、「接種歴不明」として接種済みの陽性者数から除外しているからです。

これはデータベースとしての完全性を求める感染症研究所のような学問上の分類としてはあるのかもしれませんが、そもそも厚生労働省の資料は、未知のワクチン接種を判断する根拠とされている以上、数字の扱いとしては不誠実なものと感じます。

その様に扱うことで、ワクチンの効果が高めに現れることが明らかだからです。

市民の感覚からすると、そもそもワクチンを接種したのかしていないのかさえ判断がつかないような特殊な状況を除いては、陽性者本人の認識上接種済み回数が明らかであるデータに関しては、接種済み陽性者数として集計されなければ、ワクチンの効果を判断する上での信頼できる資料とはなり得ないものと感じます。

指摘された点のみを消極的に訂正し、感染証研究所と扱いを同じにするという詭弁のような対応で、接種済みの陽性者数を引続き実態より少ないまま放置している国の態度は、国民に対して誠実なリーダーシップを発揮しているとは言えません。

3)本来あるべきカウント方式

 ワクチン接種済みの新規陽性数については、本来接種日が不明であっても接種済者数にカウントするのが、新規陽性割合を正しく把握する上で必要な扱いではないでしょうか?

3)本来あるべきカウント方式

3)本来あるべきカウント方式

本来であれば、ここに入んなきゃいけない人なんですけども、、、

CBC大石アナも、明らかに不自然と感じていながら、立場上はそれ以上の言及はできないのでしょう。それでも何とか、その不可解な数字の扱いを視聴者に伝えようとしている静かなる熱意は伝わります。

ここで簡単な常識と論理的思考を働かせてみます。

未接種者の接種歴不明

 ワクチンを打ったかどうか聞かれた際、未接種であればその時点で「未接種」にカウントされることになります。未接種を裏付ける日時情報は必要ないからです。

この点を考慮すると、未接種者のカウントは漏れが少ないと考えられます。

接種済み者の接種歴不明

 これに対して接種済み者のカウントは、なかなかハードルが高いです。

医師の質問に対し、明確に接種年月日を回答する必要があるからです。動画に登場する細川外科クリニック委員長のインタビューでは、具体的には以下の通りです。

陽性者に必ず聞くんですね。
「あなたはワクチン打っているの?ないの?」と

「はい、打ちました」もしくは

「私は一度も打ったことありません」と

記録癖のある方や、ワクチン証明書などを携行している場合を除き、接種から既に1年近くが経過している現在、接種日を意識して記憶している方がどれほどいるのかという話になります。

実際の医師の感覚的な割合は以下の通りです。

その次は「いつ打ったの」と必ず聞くんですけど
「いつだったっけ?」の返事が8~9割

つまり、ワクチン接種済みで新規陽性者となった方の8~9割が、現在のカウント方式では実際には新規陽性者としてカウントされていないということになります。特定の医師の感覚で8、9割ですが、それでも全国で見た場合でも、過半が本来のカウントから外れて接種歴不明に分類されている状況がありそうです。

要するに、ワクチン未接種の新規陽性者数は正しくカウントされる傾向にある一方、接種済みの新規陽性者数は、実態よりも著しく少なくカウントされている可能性が高いということになります。

接種済み陽性数減少のレトリック

 この接種済み者の新規陽性数がカウントされにくい、という点は、二重三重のレトリックの一つだと考えられます。

  • 接種回数毎に分割することで、ワクチン接種済み陽性者数の実数を少なく見せる
  • 接種年月日を報告させることで、接種済みカウントを小さくさせる

仮に政府が、ブラジル大統領のようにコロナワクチン接種に対して否定的な立場であれば、おそらく新規陽性者のカウント方式は別の形が採用されたことでしょう。

具体的には、

  • 2回接種済に1回目接種数も加える、3回目接種済に1、2回目接種数も加える。
  • 本人の明確な記憶があれば、接種年月日が不明であっても接種済み数にカウントする。

等です。もちろん、国としては正確なデータを取得公表する義務があることからの現在の数字の取扱いとなっていると回答するでしょう。しかし新規陽性者のカウント日時は、ワクチン接種日ではなく陽性判定日時で行われますから、本来このこのデータに対してはワクチン接種日情報は必要ないはずです。

逆にそれだからこそ、接種済みの数を少なくする方法として、接種日時情報が必要とされているということにもなります。

感染症対策アドバイザリーボード

 ではこれまでの情報に基づき、実際の新規陽性者数を推測してみます。

ここから先は、CBCの報道に基づき本ブログが独自で算定する想定数ということになりますので、予めその旨についてご理解の上読み進めてください。

厚生労働省はホームページ上に、感染症対策の判断根拠となる専門家の資料「アドバイザリーボード」を公開しています。

第1回は2020年年2月7日で、2022年6月1日現在第86回が掲載されています。この内第81回までがデータ改ざんと指摘される旧カウント方式となっています。

「新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード」は、新型コロナウイルス感染症対策を円滑に推進するに当たって必要となる、医療・公衆衛生分野の専門的・技術的な事項について、厚生労働省に対し必要な助言等を行うものです。

厚生労働省ホームページ

行政や国民全般に対する行動助言のための専門家基礎資料の中に、一般常識とかけ離れた恣意的な数字が並べられていた点は衝撃的な事実ですが、先に記載した通り、実際には現在も実態を反映しているとは言えない数字が並んでいるため、少しでも実数に近い数字を確認するために独自の考察を行います。

アドバイザリーボードの新規陽性者数

データ訂正[直前]1週間の陽性者数

データ訂正[直前]1週間の陽性者数

データ訂正[直後]1週間の陽性者数

データ訂正[直後]1週間の陽性者数

以下の考察は、この2022年4月4日から17日までの、データ改ざん前後の連続する2週間の陽性割合が概ね一様という前提に基づいての検証となります。

【未接種】新規陽性かさ増し数

 初めにデータ改ざん前後の「未接種の陽性者数」について確認します。アドバイザリーボードでは、未接種者の陽性数が多くなるようにデータが扱われていた実態を確認します。

未接種の新規陽性者かさ増し状況

データ改ざん前後の未接種による新規陽性数を並べて比較すると、その数字のかさ増し状況がよく理解できます。

年齢が上がるにつれかさ増し割合が増え、全年代で概ね2倍~3倍以上もの未接種陽性者が恣意的に生み出されていたことになります。

ワクチン接種を進めるために長らくこの数字が使われていたと考えると、政府の国民に対する悪意ある不誠実さが理解できるというものです。

【接種歴不明】新規 陽性者数

 次に、現状接種歴不明にカウントされている陽性者数の中から、接種済み陽性数がどの程度あるのか確認を行います。

データ改ざん前後の陽性割合が一様と考える場合、改ざん前後の接種歴不明の差数が、本来接種済みにカウントされるべき陽性者数となります。

【接種歴 不明 】新規 陽性者数

この単純な数字の比較により、先の未接種陽性数のかさ増しとは逆に、接種済み新規陽性者のかさ減らしの実態がよく理解できます。現在もなお、各年代数千人から一万人弱のワクチン接種済みの新規陽性数が、接種歴不明の名のもとに未カウントのまま放置されているのです。

このように、未接種者の陽性数をかさ増しし、接種済みの陽性数をかさ減らしすることで、ワクチン未接種の危険性を実態よりも大きく見せ、接種の効果が実態よりも高いものに見えるよう、政府は数字の恣意的な操作を行っているとみなされても仕方ありません。

もしそうでない場合でも、国民に対して不誠実な態度であることには違いありません。

【接種済み】陽性者数のリアル

 では最後に、恣意的にカウントから外された接種済み陽性者数を、本来の数字に戻し、より実態に近い感染割合を確認します。

手順は以下の通りです。

  1. 接種済み新規陽性数の2回、3回割合確認
  2. 割合毎の接種歴不明陽性者の振分け
  3. 振分け後の10万人あたりの新規陽性者数の確認

ではまず、データ修正後の2回目、3回目接種済みの新規陽性者数の割合を確認します。

1)接種済み新規陽性数の2回、3回割合

ワクチン接種歴別新規陽性者割合

年代別ワクチン接種回数の傾向に沿ってか、若い年代ほど2回目接種者の陽性が多く、年齢の増加と共に3回目接種の割合が増加するのがよく分かります。

この割合に準じて、先に見た接種済み接種歴不明数を案分します。

2)割合毎の接種歴不明陽性者数の振分け

接種歴不明新規陽性者数振分け

ここで得られた数字を、接種済み新規陽性者数に加えた上で、10万人あたりの新規陽性割合を確認します。

3)振分け後の10万人あたりの新規陽性者数の確認

 先にみた振分け実数を各接種回数に加えた上で、10万人あたりの陽性者数を確認すると以下の通りとなります。

10万人当たりの新規陽性概数

10万人当たりの新規陽性概数グラフ

こうしてみると、12歳から79歳までの全ての年齢において、未接種よりも2回目接種の方が新規陽性数が多い結果となります。

このグラフを見ると、3回目接種が非常に有効という錯覚に陥りがちですが、現在の2回目グラフの状況は、実は数ヶ月後の3回目接種のグラフに該当すると考えることが妥当ではないかと感じます。時間の経過とともに、次第に効果が減衰するということです。

そう考えると、このグラフはワクチン未接種者が生まれながらに獲得している自然免疫力を獲得するために、ワクチン接種者が定期的なブースター接種を行う必要があることを伝えているようにも感じます。

そもそもPCR陽性者の数を論じることに、どれほどの意味があるのかという根源的な疑問は残ったままではありますが、今回の確認は、ワクチンの効果の実態をより分かりやすく示唆するものであるように思います。

現在様々報道されている帯状疱疹やサル痘、今後流行すると言われているAIDSまで、コロナワクチン接種の影響は、実際にはどの程度あるのでしょうか。

日本政府がデータの改ざんを行い、東京都が『もっとTokyo』キャンペーンで若い世代に推進する3回目ワクチンの接種に対し疑問を投げかけることは、市民としての在り方に疑問を投げかけられるべきものなのでしょうか?

そして最後に残る大きな疑問

 今回の検証は、政府が発表する数字を鵜吞みにせず、実態により近い状況把握を試みたものです。

しかしその数字を確認してまだ尚、大きな疑問は残ったままです。

その疑問とは、

その次は「いつ打ったの」と必ず聞くんですけど
「いつだったっけ?」の返事が8~9割

という現場の医師の感覚と、接種歴不明の陽性者数との乖離です。

この医師の感覚が正しく、そして接種歴不明数が全て、改ざん前であれば未接種に、現在であれば接種歴不明にカウントされている場合、その数字は現状よりも何倍も多いことになるはずです。

今回接種歴不明から接種済みに加算した新規陽性者数は、改ざん前の数字の多くても2倍、不明8~9割に対応する5~10倍にはとても及びません。

そこに決して表には出ることのない、隠された秘密が隠れているのでしょうか?

今回は、新規陽性者数の実態に迫ってみました。

そしてこれからも、ワクチンの影響について考えていきたいと思います。

ではまた次回。